SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし


「……っ、」


「いい気味っ! けどこんなんじゃ全然気が晴れない! あたしの苦しみはこんなもんじゃっ……!」


今度はあたしの上に馬乗りになり、薫は素手で殴ってきた。


「バカみたい! アンタなんか信用してっ……友達になんかなったりしてっ!」


‘‘パァン! パァン! ベシッ!’’


「生き抜け? 理不尽に立ち向かえ? よくも偉そうにそんな事っ! 元凶はアンタじゃないっ! アンタさえいなければっ……アンタさえっ……」


‘‘ガッ、ゴッ! パアンッ! パアンッ!’’


「……ハァ、……ハァ、 許さない……」


疲れたのか少し薫の手が止まる。

すると、


「代われ」


ずっと様子を見ていた透が薫の肩に手を置いた。

透は冷たくあたしを見下ろす。


「おい、最低女」


そう言い、無理やりあたしを立たせると、


——バシーンッ!


力いっぱい頬を叩いた。


「……っ、」


襟元を掴まれている為、あたしの体勢は崩れない。

透は掴んだその手に力をこめる……


「オレ言ったよな。Blue dollが自滅したからって、この先、犯人に対する怒りや憎しみは消えねえって……」


「……っ、」


「母さんの仇は必ず取る。卑劣な手段で命を奪った犯人を……お前をっ!」


——バッシーンッ!


また頬に衝撃が走ると口の中が少し切れる。

血の味が広がった……