SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし


「……っ、」


「アンタなんかアンタなんかっ!」

すると、


「——やめろっ!」


遠くから声が飛んできて、ちょうど様子を見に来たのか、湧人が慌てて駆けつけた。

すぐにドン! と二人を押しのける。


「「————」」


「二人とも何やってるの! さっき和解したいって言ったじゃないか! その為の話し合いだって……なのにっ!」


あたしをかばうように強く二人を睨みつける。

そんな湧人に二人はピタリと動きを止めた。


「……ひどいよこんなっ……みくはっ……みくにだって事情があるのにっ!」


「「————」」


「……いろいろ……あったんだ。 せめて話を聞くぐらい……」


「「————」」


二人は動きを止めたまま……

何も言わず、無の表情で、目の前の湧人を見つめている。


「……ちょ、……聞いてる?」


その不自然さに湧人が顔をしかめると、やっと二人に動きが見られた。


“……ザッ、 ……ザッ、”


雑草を踏みしめ、ゆっくりと、二人はその場を離れてゆく……


「……なに、 どうしたの……」


不審な顔で湧人が聞く。 すると、


「邪魔すんなガキ」
「これはあたしたちの問題なの」


二人は言葉を吐き捨てる。
来た道を歩いて帰っていった……


「……っ、みく! 大丈夫!」


湧人が顔を覗きこむ。

あたしはコクンと頷きながら、二人が行った方向を、ただぼんやり見つめていた……