「あのさあ、予想外の行動はやめてくれないかなあ?」


背の低い太った金髪男が二人に言う。


「僕たち、も〜っと面白いものが見たいワケ。だからこのまますんなり仲直りとか、そんなの全然つまんないし、期待外れもいいところ」


「「……⁉︎」」


「普通はやられたらやり返すだろお? 楽しみに待ってたのにさあ、ほんとキミたちにはガッカリだね」


いまいち話が見えてこない。

顔を強張らせながら透と薫は意味を探る。

すると、金髪男の隣にいた、痩せで長身の短髪男が薄ら笑いを浮かべて言った。


「お前等は憎んでいる筈だ、Blue dollを。母親を殺した、あの組織の人間を」


言葉がドンと胸を突く。


「……なっ!」
「お前ら一体!」


心臓が激しく動悸して、二人は生唾をのみこんだ。


「グフフ」
「ヒヒヒ」


奇妙な笑いが辺りを包む。

得体の知れない不気味さに、恐怖に、ますます二人は後ずさる。


「あれ〜? どこ行くの〜?」


楽しむように、男たちは逆に距離を詰めていった。


「……っ!」
「近寄るな!」

「グフフ」
「大人しくしろ」

「いやっ!」
「このっ!」


訴えも抵抗もむなしく、長身の男の人差し指が容易く二人の額に触れる。


「「————!!」」


瞬間、まるで石にでもなったように、透と薫は硬直した。