「だが、僕はあえてその嘘に乗っかった。キミたちの前でわざとサヤの悪口を言い、苛めているように見せかけたんだ。それがサヤを追い出す唯一の方法だと思ってね。

思惑通り……キミたちは僕に憤慨し、軽蔑し、かばうようにサヤをチームから連れ出した。

そうやって僕はっ……僕はキミたちにサヤを押し付けたんだっ! そのせいで天使 美空が苦しむなど、これっぽっちも思わずにっ!!」


「……っ……」

「……ミク、が……」
「……苦しむ……?」


その先は、もう聞かずとも分かっていた。

それでも聞き返したのは、どこかでその事実を否定したい、受け入れたくない気持ちの表れだ……


「ああ、」


弘和の口がゆっくり動く。

黒木とユリは顔を歪め、その口の動きを目で追った……


「天使 美空はずっと苛めを受けていた。美空が世間知らずなのをいい事に、サヤは常識という名の自分よがりな考えを……言葉の暴力を美空に散々浴びせていたんだ」


「「————っ!!」」


「苛めはだんだんエスカレートしていった。次第に手が出て足が出て……毎日のようにサヤは殴る蹴るの暴行を……」


「「————っ!!」」


「それでも美空は何も言わずサヤの常識を……暴力を受け入れた。

時々はおかしいと思う事もあった様だが、それはすぐに打ち消した。何故だか分かるか?

キミたちが美空に言ったからだ! サヤの言う事は間違いない、ちゃんと言う事を聞くようにと! だからっ……!!」


「「————っ!!」」