「僕は名ばかりのリーダーだった! 裏でチームを仕切っていたのは……そこにいるサヤなんだ!」


「……っ、」
「……え?」
「……は、あ⁉︎」


「まったく酷い女だった。サヤは自己顕示欲が異常に強くて……何でも自分が一番じゃなきゃ気が済まないんだ」


「……自己顕示欲……?」
「……自分が一番……?」


「だから、どんな事をしても自分が優位に立とうとする! うまく相手の懐に入り込んでは弱みに付け込み追い詰める! サヤはそういう奴なんだ!!」


「「……っ……」」


「……違っ、わたくしは——」

「僕も弱みを握られていたっ! だからそいつの言いなりにっ!!」


「「……っ……⁉︎」」


「……ハァ。 ……僕は……実は、あるアイドルのプライベートを覗き見するのが趣味でね、それが彼女にバレたんだ。

油断したよ……僕ともあろう人間が酒に酔わされ見透かされ……本当、とんだ失態だった」


「「……っ……⁉︎」」


「……とにかく、チームはサヤを中心に回っていたんだ。 まあ、僕の方が力が上だし、一応は立ててはくれたけど、何ていうか……いつも手の上で転がされている気分だった。毎日息が詰まりそうで……

みんなだってそうだ。いつもサヤに怯えてて、すぐに顔色伺って……

そりゃそうだ、みんなが弱みを握られていたんだ。嫌でも従うしか……」


「やめて下さいっ!」


「だからそいつは調子に乗った! 気に入らない事があれば得意の正論で責め立てる! 脅しては罵り、時には暴力も……!」


「いい加減にして下さいっ! わたくしがそんな事するはず——」

「もうキミには屈しないいっ! カミングアウトしたんだああっ……僕にもう弱みはないしキミの脅しは通用しなあああいいっ!!」


荒々しい怒鳴り声……

土下座したまま、弘和は怒りに体を震わせた。