「……ち、違います! 誤解ですわ!」


「でも、ミクがBlue dollだったってコト……喋ったんだよな?」


「よりによって透くんと薫ちゃんに……どうしてそんな残酷な事……」


「それはっ……でもっ、わたくしは本当の事を言っただけです! だって、あのまま仇だと知らずに一緒にいる方が残酷かと……!」


「おいおい、本当の事って……」
「美空が仇だなんて、そんな……」

すると、


「——もうやめるんだっ!」


突然、誰かが家に入ってきた。


「「「……っ⁉︎」」」


驚くと共に、それが誰かを認識して、みんなが「あ!」と声を上げる。


「ヒロカズ!」
「弘和くん!」
「……っ……」


入ってきたのは “弘和 ”

一見、どこにでもいそうなこの地味な眼鏡男は、チームESPのリーダーであり、能力レベルも最高クラスのAランクという確かな実力を持つ青年……。


「……オマエ、なんでココに……」


「勝手にすまない……しかし、さすがの僕もこれ以上黙っているのは辛くてね」


黒木とユリは困惑した。

いつもなら開口一番、嫌味や憎まれ口を叩く男が、やけに真剣な口ぶりだ。


——ガタッ


「悪かった! どうか許してくれないか!」


ひざまずき、弘和はその場に土下座した。


「……エ⁉︎ オイ!」
「……弘和、くん?」


「僕は嘘をついていた! そして、ずっと見て見ぬふりをしていたんだ!!」


「「……っ⁉︎」」


ただ事でない様子に黒木とユリの顔がこわばる。


「……僕はっ、 僕はっ……!!」


頭を下げた状態で弘和は暴露し始めた。