——バタバタバタッ……


慌ただしく透と薫が去って行く……


パタン、と勝手に扉が閉じて、間もなく黒木も電話を終わらせた。


「誠さんっ! 美空、見つかったのね!」


「ああ、今湧人と一緒にいるってよ。だいぶ落ち込んでるみてえだが体は別に何てことねえって……」


「……そう、 良かった……」


二人は共に安堵する。

本当は今すぐにでも迎えに行きたい所だが、堪えて息を整えた。


「「…………」」


胸の違和感を確認する。

確実に居座るそれは、だんだん二人の心を締め付けてくる。


——確かめなければならない……


「「……サヤ……」」


二人はサヤに切り出した。


「……あのな、正直に言って欲しいんだ。 オマエ、美空を……イジメてたのか……?」


「……っ……違いますわ! いじめてなど!」


「それじゃあ、美空の過去の話をしたっていうのは……?」


「……え? ああ、それは少し……でも、」


「そおか……じゃあ、もうとっくに能力は戻ってたってワケかあ」

「なのに、どうして昨日は嘘を? あなたならESPで美空の居場所ぐらい分かったでしょう?」


「……っ……」


「オレたちが必死にミクを探してんの分かってたよナア……?」


「あなたはずっとここにいて、チームESPと連絡を取り合っていたのよね? 美空の居場所を突き止めるって。

でも、私ずっと不思議で……

なんで昨日に限って、みんなの探査能力がアテにならなかったのか……」


「……っ……」


「ワザと……なのか? おまえ、ミクに戻って来てほしくなくてそれで……」

「そんなに……美空の事が嫌いだったの?」


ガッカリしたような、諦めたような、悲しみに沈んだ二つの顔……

すでに二人のサヤを見る目が変わっている。