「出て行ったというなら……多分、オレたちの事があったからだと……」


「「……?」」


今度は黒木とユリが首を傾げる。


「あのっ! どうして言ってくれなかったんですかっ! 美空さんの事っ!」


薫はバッと二人に詰め寄った。


「……っ、なんだあ?」
「……どういう事……?」


「美空さんがBlue dollだったという事です! それを昨日、あのサヤって人から聞きました!」


「「————っ!!」」


一気に二人が凍りつく。


「……な、なんっ……」
「……っ……サヤ……」


「あの人、ずっと美空さんをいじめてて……! それを昨日二人に言おうと思ったんです! そしたら突然能力が戻ったとかで……美空さんの事、いろいろ喋り出して……!」


「「……っ……!!」」


「……う、嘘ですわっ!」


すぐにサヤが割り込んだ。


「いじめてたなんてそんな事……そうやって皆でわたくしを悪者に……!」


「全部本当の事じゃない!」


「誠兄さま! ユリ姉さま! どうかわたくしを信じて下さい!」


「「……っ……」」


「さっきの……あの湧人って少年の態度を思い出して下さい!

あいつ、二人に失礼な事を言ったばかりか、わたくしには “ おまえなんか大嫌いだ!” と暴言を! いじめられているのはこっちですわ!」


「……っ……ちょ、待て!」
「……なん……なのよ……」


黒木とユリは混乱した。