SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし


「……っ⁉︎」


何が起こったのか分からない透が、ポカンとその場に立ち尽くしている。

でも、


「邪魔するな役立たずっ!」


その言葉にハッとなり、すぐにサヤを取り押さえた。


「……やめっ……離せっ!」


「おとなしくしろっ!」


「指揮官の息子だからって偉そうにっ!」


後ろから羽交い締めにされ、サヤは手足をバタつかせる。


「離せえぇっ!」


「暴れんなっ!」


「この暴力バカ息子っ! 指揮官にこのこと言いつけてやるっ!」


「……たく、とんでもねえ奴だな」


まだちょっと騒がしいけど、その場の緊張感がだいぶ緩んだ。


……ふう。


一段落し、あたしは胸をなでおろす。

すると、


「……美空、さん……?」


薫がぼんやりつぶやいた。


「……薫? どうしたの?」


「……美空さん、さっき……」


「うん?」


「さっきの、何?」


「なにって?」


「手から、何か出た」


……ああ、


「バリアーだよ」


あたしはポロッと口にする。


「「バリアー?」」


いつの間にか近くまで来ていた透と薫の声がかぶる。

サヤの動きを封じながら、透は眉間にシワを寄せた。