SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし


"ガンッ! ゴンッ……グシャンッ!"


「……ちょっ! あぶなっ……!」
「おまえ何やってんだ! やめろ!」


クッション、灰皿、ティーカップ、雑誌、スリッパ、観葉植物……

それらがメチャクチャに、けっこうなスピードで飛んでくる。


——ガバッ!


透があたしと薫を抱え込み、ソファを盾に身を伏せた。


"ガン! ……グシャ! ガゴンッ!"


たちまち辺りが物で散乱する。


「ムカつくムカつくムカつくッ!」


サヤの怒りは治まらない。

今度はキャビネットのワインやグラスを投げ始めた。


"ガシャン! ガシャ! ガシャンッ!"


「……っ! おいやめろっ!」


「うるさいっ! 邪魔するヤツは許さない! やっと……やっと見つけたのにっ! ここは私の場所なんだッ!!」


相変わらずの形相でサヤは怒りをぶちまける。


「……くっそ!」


身を伏せながら透は隙を見計らう。

そして、


——ダッ!


素早く透は飛び出した。


「お兄ちゃんっ!」


——ダダダッ!


一直線に透がサヤに向かってゆく……

ところが、


——ブンッ!


透がそこへ行き着く前にサヤが花瓶を投げてくる。


「……っ!」


すでに避ける間もないくらい、透は距離を詰めている……


「……ハッ!」


あたしは慌ててバリアーを放つ。


"バインッ……ゴトン!"


バリアーに弾かれ、花瓶はあえなく床へと落ちた。