「……とにかくだ、黒木さんたちが帰ってくるまでオレらはここに居させてもらう。そしてこの現状をきっちり二人に報告する。
……言っておくが、オレはおまえより二人との付き合いは長いんだ。
いくらおまえが絶大な信頼を得ていたとしても、オレの話にはきっと耳を傾けるだろう」
途中から透は声を大きくする。
聞こえたのか、サヤはビクッと肩を揺らした。
「……っっ……」
突き刺すような透の視線にサヤの焦りは加速する。
苛立ちも極限にまでふくらんだのか……
「いい加減にしてっ!」
とうとう耐え切れなくなった様子で、サヤはヒステリックな声をあげた。
「さっきからグチグチグチグチ! ほんとムカつく! イジメっていうなら今アンタたちがやってる事がイジメじゃない!」
「……なに? 逆ギレ?」
「フン! それがおまえの本性か!」
「卑怯よっ! よってたかって責めるなんてっ! そんなの最低だって言ってんのっ!」
「あなたが責められるような事をしたんでしょ!」
「最低なのはおまえだろっ!」
「……ひどっ……ひどいっ!」
「ひどいのはどっち⁉︎」
「自業自得だろうがっ!」
「うるさいっ! 誰に向かってそんな口をっ……私はっ……私を誰だと思って……!」
サヤの声が怒りにぶるぶる震えている。
顔は真っ赤にいびつに歪んでいた。
「フザけんなっ! みんなそいつに騙されてんのよっ! その女すんごいウソつきなんだからっ!」
「あなたまだそんな事!」
「アンタたちが知らないだけっ! 昨日だってさんざん私にウソついてっ……!」
「やめて! 美空さんがウソをつくはずないでしょ!」
「……っ、」
「美空さんはあたしの友達なの! 友達を侮辱するのは許さない!」
「バカバカしいっ! その友達が本当はウソつきだっつってんのっ!」
「だからやめてっ!」
「おまえホント最低だな!」
「……っっ……」
2、3秒……サヤは顔を硬直させる。
そして、
「ああ〜っ!! 違う違う違うっ!! 違うっつってんだろーがあああッ!!」
我を忘れて怒鳴り散らした。
「「……っ!」」
元の顔からは想像出来ない、まるで鬼のような形相……
ギリギリとサヤは唇を噛みしめる。
「フザけんなああッ!!」
——ブンッ!
手当たり次第いろんな物を投げてきた。


