SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし


「……とにかくだ、黒木さんたちが帰ってくるまでオレらはここに居させてもらう。そしてこの現状をきっちり二人に報告する。

……言っておくが、オレはおまえより二人との付き合いは長いんだ。

いくらおまえが絶大な信頼を得ていたとしても、オレの話にはきっと耳を傾けるだろう」


途中から透は声を大きくする。

聞こえたのか、サヤはビクッと肩を揺らした。


「……っっ……」


突き刺すような透の視線にサヤの焦りは加速する。

苛立ちも極限にまでふくらんだのか……


「いい加減にしてっ!」


とうとう耐え切れなくなった様子で、サヤはヒステリックな声をあげた。


「さっきからグチグチグチグチ! ほんとムカつく! イジメっていうなら今アンタたちがやってる事がイジメじゃない!」


「……なに? 逆ギレ?」
「フン! それがおまえの本性か!」


「卑怯よっ! よってたかって責めるなんてっ! そんなの最低だって言ってんのっ!」


「あなたが責められるような事をしたんでしょ!」

「最低なのはおまえだろっ!」


「……ひどっ……ひどいっ!」


「ひどいのはどっち⁉︎」
「自業自得だろうがっ!」


「うるさいっ! 誰に向かってそんな口をっ……私はっ……私を誰だと思って……!」


サヤの声が怒りにぶるぶる震えている。

顔は真っ赤にいびつに歪んでいた。


「フザけんなっ! みんなそいつに騙されてんのよっ! その女すんごいウソつきなんだからっ!」


「あなたまだそんな事!」


「アンタたちが知らないだけっ! 昨日だってさんざん私にウソついてっ……!」


「やめて! 美空さんがウソをつくはずないでしょ!」


「……っ、」


「美空さんはあたしの友達なの! 友達を侮辱するのは許さない!」


「バカバカしいっ! その友達が本当はウソつきだっつってんのっ!」


「だからやめてっ!」
「おまえホント最低だな!」


「……っっ……」


2、3秒……サヤは顔を硬直させる。

そして、


「ああ〜っ!! 違う違う違うっ!! 違うっつってんだろーがあああッ!!」


我を忘れて怒鳴り散らした。


「「……っ!」」


元の顔からは想像出来ない、まるで鬼のような形相……

ギリギリとサヤは唇を噛みしめる。


「フザけんなああッ!!」


——ブンッ!

手当たり次第いろんな物を投げてきた。