SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし


「……ハア、」


聞こえるため息……



「……そうだね。またオレの悪い癖。ちゃんと見てないのに決めつけるのは良くないよね」


しばらくして再び湧人が喋りだす。


「……?」


「ねえ、今からみくの家に行ってもいいかな?」


唐突にそんな事を切り出した。


「……え?」


「実はずっと遠慮してたんだよね。会議室とかあるって言うし、見られたくないものとか……あるんじゃないかと思ってさ」


「……でも……」


「黒木さんとユリさん、オレに会いたいって言ってたんだろ?」


「……え。 ああ、うん」


「だったらいいよね? オレも会ってみたいし。黒木さんとユリさん、そのサヤって人にも」


「……サヤ、にも?」


「うん、会ってみたいな。そんなにみんなが好きって言うなら……オレだって」


「……う、ん……」


「じゃあ決まり」


……?

笑ってるけど、笑ってない?

不思議に思いながらも、あたしは湧人と会話を続ける……


「でも、黒木とユリ今いないんだ」


「サヤって人はいるんでしょ?」


「いるけど……あ! 今、思い出した。男連れ込むのダメの常識だったんだ」


「ふうん。じゃあ、この間ここに来た薫って人も一緒に。それなら別に平気じゃない?」


「でも薫、今日も明日も出かけるって」


「……そう、なんだ……」


「別の日。いつがいいかなあ?」


「……ハァ。なるべく早いうちがいいんだけど」


その後も、笑ってるようで笑ってない、湧人に首を傾げながらあたしは口を動かした……