SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし



「……あたし、今まで分からなかった。ううん、分かってたんだけどよく分かったり、新しく分かった事もいっぱい分かって……」


「なにが、分かったの?」


「甘えてたんだ、黒木とユリに。あたしは赤の他人なのに……」


「……赤の、他人……?」


「血が繋がらないのは赤の他人。黒木とユリは家族じゃないんだ」


「別に血の繋がりだけが家族じゃ……だったら黒木さんとユリさんだって……それに二人、まだ結婚してる訳じゃないんだろ?」


「うん。そうなんだけど、でも、」


「……でも?」


「分かってたんだ、家族じゃないって。でも改めて言われたら、急に遠くなったみたいで」


「……言われた……?」


「……よく、引き取ってくれたなって。だってあたしいっぱい迷惑。今まで面倒ばっかりかけてきたのに……」


頭に黒木とユリの顔が浮かぶ……

二人はいつもあたしに笑顔で、困った時は必ず力を貸してくれた。



「働く、稼ぐ、自立する」


「……え?」


「親がいない、15才、だからって甘えてばかりはダメなんだ。だから働く稼ぐ自立する」


「…………」


「世の中にはいっぱいいるんだ。あたしだけが特別じゃない。これからはちゃんと一人で生きていかなきゃ」


「…………」


「だから早くアルバイト……」


……あ、れ。

急に斜めうしろがシンとする。

あたしはそっと湧人に目を向けた。


「…………」


悩ましげな顔……

銀の瞳を曇らせて湧人が首をひねってる。


「……ゆうと?」


呼びかけるとパッとあたしと目が合った。