SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし



———— “ CKー1 ”



———— “ CKー1 ”



……っ、 ……ちがう……



———— “ CKー1 ”



———— “ CKー1 ”



……ちがうっ! あたしはっ!


——バンッ!!


「あたしはそんな名前じゃないっ!」


「……っ⁉︎」


……あ。

我に返ってハッとする。

目の前では驚いた顔の透が、後ろへ体をのけぞらせている。


「……あま、つか……?」


「……ああ……」


あたしは目線を下にさげた。


「……どう、した……?」


「……ごめん……」


「……あまつか……?」


「…………」


「……なあ、あまつ——」
「——とおるっ! あたしはっ!」


おもわず前に身を乗りだす。


「……っ⁉︎」


「あたしの名前は、天使 美空だ!」


透を見据えてそう言った。


「……は、あ……?」


「だから、あたしの名前は美空なんだ!」


同時に心の中で確認する。

“ あたしの名前は天使 美空。”

みんながあたしを美空と呼ぶ。

もうあの頃の……

Blue doll だった頃のあたしじゃない。

そう、CKー1なんかじゃ……


「……それが、どうした」


訳が分からないという様な透の顔。


「美空って、呼んで」


「……は?」


「みんなあたしをそう呼ぶから。透にも、美空って呼んでほしいんだ!」


「……っ……だよ、それ……」


すぐに透は顔をそむける。

頭をガシガシかきながら、スっと席を立ち上がった。


「帰るぞ」


そのまま足早に歩いてゆく。


「…………」


「……おい、」


少しこちらに振り返り、


「早くしろ……美空」


初めてあたしを名前で呼んだ。


「……うん、」


あたしは背中を追いかける。

前を歩く透がどんな顔をしているかは分からない。

でも、またそわそわした変な空気が漂っていた。