「……え? ……ああ、うん、」
「……ふうん。オレは仕事の時の顔はあんまよく分かんねえけど……でも、確かに厳しくなったのかもな」
「……うん?」
「母さん死んでから特にな。仕事熱心なのはそれだけ強い信念があっての事だ」
「……強い、信念?」
「ああ。オレと約束したんだ、親父。母さんの仇は必ず取る、卑劣な手段で命を奪った犯人を俺がこの手で捕まえてみせるってな」
「…………」
「あいにく、その犯人グループは自滅したらしいが……だが、信念だけはそのまま残った。
犯罪に手を染める能力者に対しては特に、親父は絶対屈しねえ。
あの時の、母さんを殺された怒りと憎しみが親父を突き動かしてんだ……」
「…………」
「オレも思いは同じだ。いくら自滅したとはいえ、この先も犯人に対する怒りや憎しみは消えないだろう……
だから親父が仕事中心で滅多に家に帰らなくても、オレや薫との関わりが薄くても、それはそれで仕方ないと思ってる。
薫にはそれが不満で、なかなか理解出来ねえみたいだけどな」
「…………」
あたしは何も言葉が出てこない。
“ドクン、ドクン、ドクン……”
まただ……
この間もそう……
透からお母さんの話が出るたびに嫌な感覚に襲われる。
“ドクン、ドクン、ドクン、ドクン……”
速まる鼓動……
町の雑音が遮断され、急に何も聞こえない……
代わりに耳の奥の方……
————“ CKー1 ”
夢の中の、あの不快な声が響いてくる


