「……そのブレスレットは?」


「湧人がくれた」


「ああ、例のGアンチの……」


「アクアマリンって言うんだって。心が元気に癒すの力で、湧人が作ってくれたんだ」


あたしはこの間の事を思い出す。

縁側でまったりしていたら湧人が手を出してって言ってきて、これを手首につけたのだ。

どうやら前々から内緒で準備していたらしく、ありがとうって言ったら照れたように少し顔を赤くしていた。


「それは優しいお友達ですね。昨日の満月はその湧人くんと?」


「うん。湧人約束してくれた。満月一緒にいてくれるって。黒木とユリも、それが一番安心だって」


「……そう、ですか……」


ゆらり一樹の目が泳ぐ。
アゴに手をあて、何か悩む素振りをみせた。


「……いつき?」


「……ああ、いえ、実はその件についても気になっていましてね」


「気になる? なにが?」


「その、湧人くんの事がです」


「湧人?」


「差し支えなければ、一度湧人くんに会わせて頂けませんか?」


「……えっ⁉︎」


おもわず大きな声が出た。


「……どうか、しましたか?」


「……ううん。 でも……」


「……?」


「どうして……会うの?」


あたしはじとっと一樹を見る。


「それは……Gアンチの効力について、確かめたい事がありまして」


「…………」


「……と言っても、今日は時間がありませんから次に来た時ゆっくりと……構いませんか?」


「…………」


「……美空?」


「……し、ない?」


「……はい?」


「なにもしない?」


「どういう意味です?」


「だって湧人は秘密の友達。何かされたら……困るんだ……」


「ああ、」


すぐに一樹は察知する。


「大丈夫ですよ。心配しなくても彼の記憶を消すような事は致しません」


にこりとあたしに微笑んだ。