「ありがとな」
透がポツリ、あたしに言う。
「うん?」
「薫の事。 アイツ、まるで人が変わったみてえに明るくなって……最近じゃ全然暗い顔見せねぇ」
「……あ〜、」
「ホント、ありがとな」
「別に、あたしは何も」
「何もしてなくねえだろ?」
「……え?」
「この間、薫に助言してたじゃねぇか。薫の今後の生き方、占い師が合ってんじゃねえかって……」
「……あ、」
「まったく。薫のやつ、受験勉強よりタロットばっか研究してる……」
透はフッと微笑んだ。
……そうだった。
このあいだ湧人の家で、薫も呼んでみんなで勉強会をやった。
その時あたしは薫に合った生き方をESPの感じるままに口にした。
それを聞いた薫は途端に瞳を輝かせたのだ。
「霊感なんて面倒なだけだと思ってた。でも、それを生かした生き方ってのもあるんだな」
「うん」
「少し前まではどうなる事かと思ってた……。 薫、変に自分を追い込んでたしな」
「……うん?」
「幼い頃から心に十字架背負ってんだ……アイツ」
影を落としたその表情……
透はどこか遠くを見つめてる。
「……どういう、こと?」
「……ああ、」
透はゆっくり話し始めた。
「……薫、まだ小さかった頃、誘拐されかけた事があったんだ」
「……え?」
「幸い、すぐに母さんが気付いて、薫は無事だったんだけどな……」
「……?」
「……母さんの方がな……」
「……母さん?」
「薫を守ろうと犯人に立ち向かって……挙句、薫をかばって死んだんだ」
「……!」


