SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし


「……っ! てめっ、アニキに何て事っ!」


「ごめん、だって……」


「だってもくそもあるか! オレよりひでえじゃねえかこのっ……痛っ……」


またも奏太が顔を歪める。


「……ああ、まったく……」


奏太の体を支えながら、やれやれと一樹が口をはさんだ。


「ですから、わたしには分かりますから。美空の本音も、あれがわたしに言った言葉ではない事も。そんなに気になさらぬように……」


「……でもっ、アニキ……」


「只でさえ美空は話すのが不得意なのです。奏太もあまり目くじらを立てないように……そんなに怒ると傷に障りますよ」


「……っ、」


奏太はぐっと押し黙る。


"ジワ〜ッ"


……?


「ねえ奏太、ケガ、治そうか?」


あたしは右手のしるしを見つめて言った。


「……は?」
「出来るのですか?」


「うん、できる」


言いながらあたしは奏太を抱き締める。


「……っ、おまっ、血っ……」


"ファアアア……"


あたたかな空気が奏太を包んで……

体の傷を癒してゆく……


「できた」


しるしの力で、あたしは奏太のケガを全て治した。


「……あああっ⁉︎」


自分の体を見回しながら奏太が声を張り上げる。


「美空はたまに驚異的な力を発揮するのですよ」


奏太の肩をポンポンとし、一樹はクスリと微笑んだ。


「……え⁉︎ ……は⁉︎」


「しかし、まだしるしの力が?」


一樹があたしの右手をのぞき込む。


「うん。だって大事な話、まだ伝えてないから」


「……大事な話?」