SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし



……ふう。

一樹と奏太に視線を戻す。


"ジワ〜ッ"

いまだ浮かび続ける右手のしるし。


「よし」


あたしはそっと二人に近付いた……



「……なあ、アニキ……オレ、ずっと謝りたかったんだ、あん時の事……」


そばに行くと奏太がそんな話をしていた。


「……何の事です」


「病院でオレ……アニキのせえだって、アニキなんていなけりゃ良かったって……言ったろ?」


「……ああ、」


「ほんとごめん、ひでえ事言って。けど、あれ本心じゃ……」


「分かっていますよ」


「……?」


「あれが本心じゃない事ぐらい。わたしには聞こえていましたから……

アニキのせいじゃない、オレはオレの為にやった、アニキを守りたかったんだ……という、あなたの心の声が……」


「……っ、 アニキ……」


また二人は肩を抱き合う。


「あたしも、ごめん」


どさくさまぎれに、あたしも二人に抱きついた。


「「……っ⁉︎」」


二人だけの世界の瞳に、ようやくあたしが映り込む。


「……あ、」


ハッとする一樹。 そして、


「……美空⁉︎ なんだおまっ……痛っ……」


驚いた拍子に変に動いて奏太が顔を歪めてる。


「奏太!」


「奏太……大ケガ、大丈夫?」


「……っ……おまえこそっ! なんでそんなに血まみれだっ!」


「あ〜、筋肉男にうもれてたんだ」


「……ああ⁉︎」


「それより、」


あたしは一樹の方を見る。


「今の、奏太の聞いて思い出した。あたしも一樹に謝ってない……」


「「……??」」


「一樹、あの時は……大嫌い、人殺し、殺すと言って悪かった」


以前の満月の夜の事を謝った。