……あ。
男の肩の辺りには奏太と同じ黒い龍の絵があった。
奏太よりはずいぶん小さな龍だけど……
「俺とお前は兄弟の杯をくみ交わした仲なんだぞ! その証がこの龍だっ……忘れたのか! これがある限り俺達は切っても切れねえ縁なんだッ!」
男は感情を高ぶらせた。
「すみませんっ!」
奏太は土下座する。
「柴田さんには本当に感謝しています。ですがオレは……! オレも大事な人を失望させたくないんです!
無礼なのは分かっています。ですがこれ以上組に関わる事は出来ません。期待には応えられません……!」
「…………」
不穏な空気……
男はサッと立ち上がる。
ギリッと奥歯を噛みしめると、
————ガゴッ!!
おもいっきり奏太の顔を蹴り上げた。
「……ぐっ……」
「ザケんじゃねえッ! 俺はお前を本当の弟のように思ってきたんだぞッ! それを急に手の平返しやがってッ!」
"ドゴッドゴッガッ! ……ドスッ!"
無抵抗の体に次々蹴りが浴びせられる。
……! ……奏太っ!
踏み込もうとあたしは扉に手をかける……
すると、
——ガバッ!
後ろから誰かに体を拘束され、素早くそこから引き離された。
「……⁉︎」
そのまま山積みになった廃車の裏まで連れて来られる……
「おいっ、美空っ!」
「お前何を考えてるんだ!」
拘束していたのは玉ちゃんと凌駕だった。
物陰から幹部たちも顔を出す。
「離して! 奏太が! あたし助けないと!」
「踏み込んだ所でどうなる!」
「余計に事を荒立てるだけだ!」
二人はあたしをつかんで離さない。


