「……なあ、さっきの……がんばったら会えるって、本当にそう思うか?」


「……え?」


「オレなら出来るって……本当にそう思うか?」


……?


「うん。奏太なら出来る。何だって」


「……ふっ、何だってか……」


目を細め、奏太は少し笑ってみせる。


「おまえにそう言われると、本当に何でも出来そうな気がしてくるな」


「あたし、ウソ、言わない」


「そうだな、おまえはウソつかねえもんな」


——スチャ、

奏太は握っていたリストバンドを手首につけた。


「美空、一つ約束してくれるか?」


「……うん?」


「オレはもう何も諦めねえ。ちゃんとケジメつけてくる。そしたら……」


にわかに感じる強い思い……


「おまえが連れて行ってくれるか? オレを、アニキんとこに……」


「……え、」


「会わせて……くれるか?」


「……奏太……」


その瞳はまっすぐあたしに向いている……


「分かった。約束する」


「……ふっ、」


奏太は再び笑みをこぼした。


「……で、どんなん出来るって?」


「……え?」


「アニキの能力だ。もしかして、過去の事とかも分かっちまうのか?」


「……あ〜、うん。それはよく分かる」


「そりゃ〜ヤベえな。オレ相当悪かったし、女関係も……アニキぜってえ怒るな」


……?

よく、分からないけど……

今度は一樹に会う前提で奏太があたしに話してる。


「ルールも何コか破っちまったし……ああ、でもまずはあの事謝んねぇとな」


偽りのないその素顔……

無邪気な顔の裏側に何か大きな覚悟がみえて……

同時に押し寄せる胸騒ぎに、あたしは妙にソワソワしていた……