SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし


……もう。

どうでもいいけど早く殴ってくれないかな。

先に手を出してくれないと、あたしは何も反撃できない。


「ねえ、早く一発、打ってきて」


おもわずあたしは口にする。

すると、


「ふぁっひょ〜!」
「たまんねえ〜っ! 」
「コイツ好きモノかよ!」


三人はたちまち息を荒くする。


「俺イチバン〜♪ ……やっべ! コイツけっこう胸あるし!」


ジャンケンに勝った一人があたしを押し倒し、何故か胸をもみながら、服のボタンを外しはじめた……


……? ……えっと……


「……だから、早く……」

「焦んなって! すぐに俺のをブチこんで……」


————ドガッ!!


鈍い音が響き渡った。


……⁉︎


"ガン! バキッ! ガッ、ドゴ!"


三人が一瞬のうちに倒れていく。


……な、に……


「……あ、」


目線の先には、さっきまで追いかけていたその背中、月島奏太がそこにいた。


「……奏太……」


あたしはムクっと起き上がる……


「おまえ何やってる」


「……?」


「何ヤラれようとしてやがんだッ!」


なんか奏太が怒鳴ってる……

ヤラれる? ヤラれるって……

……ああ、


「だって、先に一発だ」


「おまえそういう女かッ!」


「……殴らせ、ないと……」


「……っ……ああ⁉︎ ……って、そっちかよ!」


「……?」


「つーかそれもやめろって言っただろうが!」


「……?」


「いいから早く胸閉じろ! おまえは……汚れんじゃねえ……」


奏太はフイッと目をそむける。


「……あ〜、」


あたしは開いたままのボタンを閉じた。


「……でも、なんで? なんで奏太、ここにいるの?」


「……ああ……」

すると、


"ワオン!"


さっきのアフロ泥棒犬がすました顔でやって来る。


「この犬、何故かオレにばかり付きまとう。こっちへ来いとぐいぐい引っ張ってきやがった」


「……え、」


"ワンワン!"


アフロをかぶったその犬は、得意気にシッポをぶんぶん振った。