SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし


もう、勝手にすればいい。

もはや疲れて追いかける気にもならない。


——サア〜……

あたしの銀の髪の毛が、風になびいて後ろへ流れる。


「……らあ〜?」


口にピアスの少年があたしの前にしゃがみこんだ。


……?

少年は鼻をぐりぐりホジりながら、あたしの顔をじっと見てくる。

そのうちパッとあたしのメガネを取ると、


「……あびょ⁉︎」


ペタンと後ろに尻餅をついた。


「おい! お前らこっち来いよ!」


すると他に二人が姿を見せる。


「……おいおいコイツ!」
「間違いねえ! こいつ鬼頭会の女だ!」


少年たちは興奮気味に声を上げた。

……? なんだこいつら。

赤いのと、青いのと、黄色いのと、まるで信号機みたいな髪の色。


「やっべ! これマジやばくね⁉︎」
「でけえチャンスが目の前にっ!」
「シャア! こいつ殺ったらモレなく俺ら有名人!」


「……?」


「よし! オンナ、覚悟しろ!」
「もとはお前と鬼頭会が悪いんだ!」

「そおそ、インガなんとかってヤツ⁉︎ オレら覇鬼と山川のアニキのうらみだ! いよいよもってボコられろ!」


——ズルズル……

少年たちはあたしを建物の裏へと引っ張ってゆく。


……ああ、そういえば……


引きずられながら思い出す。

たしか凌駕が言ってたっけ、まれに頭のおかしな奴が一人や二人は向かうだろうって。

じゃあ、こいつらはあれなのか。

まれに頭のおかしなやつ……


——ザリ……


誰もいない古い車庫。

少年たちがあたしを囲む。


「しっかしコイツ美人すぎんべ⁉︎」
「まずは犯してやんのが礼儀じゃね?」
「賛成〜! じゃあまずはオレから〜♪」

「ずりーぞおまえ!」
「ちゃんとジャンケンしろ!」


三人はジャンケンをしはじめた。