"ジジジジ"
「……なに、やってるんだろ……」
あたしはさっぱり分からない。
二人ともハダカだし、
触ったりなめたり、吸ったりもんだり……
女はアンアン声を上げ、奏太はハアハア息を乱し、二人は激しく体を動かす。
黒い龍と、赤い花……
体勢が変わるたんび、二人の背中の模様が視えて……
意味不明なその行為を、あたしは静かに見守っていた。
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"チチ、チュンチュン"
「……ねむい……」
朝になり、あたしはぼーっと空を眺める。
結局、あの後二人がホテルから出てくる事はなかった。
朝方まで何度か行為を繰り返し……
今は二人ベッドの中、静かに眠りこんでいる。
「ふぁ〜、」
あくびばかりが口から出る。
視てただけなのに体がすごく疲れてる。
"ジワ〜ッ"
"ビリビリッ!"
「……分かってるってば」
右手を広げてあたしはつぶやく。
昨日、一樹が伯耆坊に怒ってからしばらくはおとなしかったのに、ここにきて、またしるしが騒がしくなってきた
……あ〜もう。
電気攻撃のせいでボサボサヘアーがアフロみたいになっている。
「……いつき、まだかな……」
あたしはジャケットの合わせ目を大きく広げ、両膝を包みこむように団子状に座り込んだ。
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二人が出てきたのは午前9時過ぎの事だった。
女がやたら上機嫌に、奏太と腕を絡めて歩いてくる。
……と、
——キッ!
黒い車が停車した。
チュッと軽く奏太と唇を重ね、女だけが車に乗り込む。
"ブロロロ〜"
車はすぐに走り去った。
「……ハア〜、」
深くため息をついた後、奏太はノロノロ歩き始める。
重い足取りのその後を、あたしもそっとついて行った……


