SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし


"ジジジジ"


「……なに、やってるんだろ……」


あたしはさっぱり分からない。

二人ともハダカだし、

触ったりなめたり、吸ったりもんだり……


女はアンアン声を上げ、奏太はハアハア息を乱し、二人は激しく体を動かす。

黒い龍と、赤い花……

体勢が変わるたんび、二人の背中の模様が視えて……

意味不明なその行為を、あたしは静かに見守っていた。


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"チチ、チュンチュン"


「……ねむい……」


朝になり、あたしはぼーっと空を眺める。

結局、あの後二人がホテルから出てくる事はなかった。

朝方まで何度か行為を繰り返し……

今は二人ベッドの中、静かに眠りこんでいる。


「ふぁ〜、」


あくびばかりが口から出る。

視てただけなのに体がすごく疲れてる。


"ジワ〜ッ"
"ビリビリッ!"


「……分かってるってば」


右手を広げてあたしはつぶやく。

昨日、一樹が伯耆坊に怒ってからしばらくはおとなしかったのに、ここにきて、またしるしが騒がしくなってきた


……あ〜もう。


電気攻撃のせいでボサボサヘアーがアフロみたいになっている。


「……いつき、まだかな……」


あたしはジャケットの合わせ目を大きく広げ、両膝を包みこむように団子状に座り込んだ。


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二人が出てきたのは午前9時過ぎの事だった。

女がやたら上機嫌に、奏太と腕を絡めて歩いてくる。

……と、


——キッ!


黒い車が停車した。

チュッと軽く奏太と唇を重ね、女だけが車に乗り込む。


"ブロロロ〜"

車はすぐに走り去った。


「……ハア〜、」


深くため息をついた後、奏太はノロノロ歩き始める。

重い足取りのその後を、あたしもそっとついて行った……