SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし


「あ? 奏太のストーカーか?」


「ああ。タチの悪いストーカーだ」


「困ったコだねえ〜」


……?

奏太があたしを睨みつける。


「迷惑だ。とっとと帰れ」


そう言うと、スッと横を過ぎていった。


「……つーかストーカー! おめえ女子力なさすぎんぞ! 女ならもうちょい身なり整えてきやがれ!」

「テルっ! 女の子に何てことっ!」


二人もすぐに離れていった。


 グォングォングォン!
 ウ゛オオオオオ————ン!!

バボボボ……ウ゛ァボボボボボッ!!!


爆音と共にバイクが次々走り出す。

道路に長い列を連ね、みんな暴走しに行った。


「…………」


……う〜ん……


奏太、機嫌悪かったな。

まだ昨日の怒りの延長線にいるようだ。

しかも、なに? ストーカーって?

あたしは一人首を傾けた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


“……ヴヴンッ、ヴン……”


それから、一時間ほどでバイク軍団は戻ってきた。

今度は奏太を含めた全員にあたしは完全無視される。

入れ替わりに、アジトに残っていたメンバーが今度はバイクを走らせた。


……はあ。


見守るってヒマだな。

あたしはその場にしゃがみこむ。

とっくにそうじは終わっているし、見てる以外、特に何もやる事がない。


「だからどーなんだよそのコ!」
「ちっとはオトコ気みしてみろ〜!」

「「「……ギャハハハ!!!」」」


暴走が終わったメンバーたちは、何をする訳でもなく、だらだら自由な時間を楽しんでいる。


——ヒュウ〜……

風がちょっと肌寒い。


「取り合えず、あそこから見守るか」


あたしはさっきの物置へと移動する。

バックにしまっていた一樹のジャケットを体に羽織り、そこから奏太の監視を続けた。