SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし

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——そしてマンション。


「もう! 待ってろって言ったじゃない!」
「ミク〜、守秘義務ってモンがあ〜……」


あたしは黒木とユリに怒られていた。


「朝まではちゃんと待ってた」


「だから、一樹くんに話してみてからって言ったでしょ!」

「ど〜してバラしちゃうかな〜」


「だってしるしが! あたし全然眠れなかった」


「「……ハア〜、」」


二人のため息が重なった。



「それで、一樹は何て言ってたの?」


「「……へ?? 」」


「奏太の事、話してくれたんでしょ?」


「……んあ〜、 ソレが……」
「あんまり、言えなかったのよね」


「……え?」


「ン〜、あんまりっつーか……全然?」

「なんか言い出しにくくて。そうこうしてるうちに一樹くんどっか行っちゃって……」


二人は “ アハハ ” と笑ってごまかす。


「……はあ〜、」


今度はあたしがため息をついた。


「ワルかったって〜」
「ごめんねえ、美空」


「…………」


「イザってなるとお〜、」
「変に言葉選んじゃって……」


「ちがうんだ」


「「……え?」」


「二人の言う通りだったから。デリケートだったんだ……」


「「……??」」


「一樹が生きてる奏太に言った。だけど全然信じてもらえない。すごく怒らせただけだった」


「……んあ〜……」
「……まあ、そりゃそうよね」


「うまく説明できないし、奏太になんにも伝わらない。心がいっぱいモヤモヤした」


「ウ〜ン、それはオレらが説明しても伝わらなかったと思うゼエ〜?」

「そうよ、口ベタの美空には至難の技だわ。 それに記憶をくつがえすなんて、一樹くんが直接本人に言わない限り無理よ……」


「……そっか……」


どんよりとした空気に包まれた。