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「…………」


縁側のそばの畳の和室。

あたしはテーブルに積み重なった、たくさんの問題集を広げていた。

目の前には制服姿の透。

透は頬杖を付きながら問題集に字を書き込んでゆく……



「……たく、なんでオレがおまえの宿題手伝わなきゃいけねえんだよ」


ブツブツ言いながら、透は懸命に手を動かす。


"ジジ"

あたしもESPを使いながら空欄に字を書き込んだ。


9月上旬……


あたしは、今頃夏休みの宿題に追われていた。

何をどう説明したのか、透が先生に事情を話し、新たにまた夏休みの宿題を持ってきたのだ。

学校休んでる間、全部これをやれという。

でも、


「……う〜ん、」


能力がうまく働かない。

最近、ESPもあまり安定してはいなかった。

不安定だと思ったらすぐに戻る。戻ったと思ったらまた不安定……

今は選択問題以外の答えが視えなかった。


「……どうした」


透がそんなあたしに目を向ける。


「答え、わからない」


「……ハァ、ほら貸せよ」


透はあたしから問題集を奪うと、すぐにそれに手を付け始めた。


9月に入ってからずっと、透はここへ顔を出す。

学校のプリントや授業のノートを毎日届けてくれていた。


「こんなのも分かんねえのかよ。この間の期末テスト、あれ、まぐれだったのか?」


「……うん」


「……ったく、」


何だかんだ言うわりに、透はあたしを気にかけてくれる。

宿題だって、あたしは何も言ってないのに、毎日手伝ってくれていた。


「……ああ、そうそう。黒木さんたち、来週頭には戻るって言ってたぞ」


「ふうん」


「あと五日ぐらいか。おまえは文化祭終わってからの登校になりそうだな」


「そっか」

すると、


「ただいま」


湧人が学校から帰ってきた。

少しムッとしながらあたしたちの方へ来る。