「……湧人っ! 離れてっ! 一人にしてっ!」
「みくっ!」
「放っておいてっ! あたしに構わないでっ!」
「……みくっ、」
「お願い、もう……帰って……」
「……っ、」
「……早く、 行って……ううう!」
すると、
————バッ!
ふいに感じる背中の違和感……
……⁉︎
湧人があたしを抱きしめていた。
……ゆう、と……?
「……あのさあ、ほっとける訳ないから……」
囁き声が耳に届く……
「……ゆう……」
……?
すぐに異変に気が付いた。
……あ、れ……
あたしはおもわず息をのむ。
何故かそれまでの苦痛がなくなり、ピタリと反応が治まっている……
……なに、 これ……
訳が分からず、ゆら〜と視線を泳がせる。
「……質問。 一体何があったの? 満月が、なに?」
あたしが落ち着いたのが分かったのか、湧人が背中越しに聞いてきた。
「……あ〜。 あたし、満月が苦手で……」
「……うん」
「……感化のぼうちょう。マイナスとプラスがあって。引っ張られて。感情が……」
「……うん」
「……今日は特にだめで……けど、今、湧人がぎゅってしたら、治って……」
「……そう」
「……湧人、なんで、ユリみたいな……」
「……うん?」
「……あ、」
……そうか……
「子どもはかわいい、見てると癒される」
「……え?」
「ユリが言ってた。子どもは癒されるんだって。だから湧人……」
「……っ、なにそれ! 子ども扱いしないでくれる! だいたい、みくの方が中身子どもだからっ!」
……?
「湧人? 怒った?」
「……別に」
"サワサワサワ"
やさしい夜風にハンカチの木が揺れている。
「……強くなるから……」
風に紛れて声がした。
「……え?」
「オレ、強くなる。みくがケガをしないで済むように誰よりも強くなって、みくのこと守るから……」
「……ゆうと……」
不思議な気分に包まれる。
湧人を背中に感じながら、あたしは満月を見上げていた……


