「……なにっ!」
顔色を変え、次男坊がうろたえる。
視線は封じられた自分の手。
「…………」
あたしは素手でナイフをつかんでいた。
奪い取り、すぐに遠くに投げ捨てる。
「……ッ!」
次男坊があたしに構える。
——グワッ!
刃物ではなく、今度は技を繰り出してきた。
“……ブンッブン! ガッ! ヒュンッ!”
右、左の拳の連打、
「このッ!」
裏で返して右ストレート、そのままクルリと回し蹴り……
だいたいそんなカンジの攻撃が、パターンを変えて繰り返される。
「……らあッ!」
——パシ!
「……ッ!!」
「…………」
あたしはその全ての攻撃を受け止める。
そして首を傾けた。
……なんだ、コイツ。
さっきあたしを殺すとか、処刑するとか言ってたのに……
全然、実力がともなっていない。
雑魚田よりは強いけど、周りにいるヤクザと、たいして腕は変わらない。
……と、
"ヒュルル……シュン! シュン!"
急に風を切る拳の音が切り変わる。
「……?」
……あ、 ……へえ。
次男坊の靴底から、なにやら刃物が飛び出している。
"ヒュオ! ヒュルッ……シュン!"
今度は足技を中心にあたしを狙い打ってきた。
「オラオラッ!」
突然イキイキと技も動きも軽やかになり、格段にレベルアップした次男坊があたしをぐいぐい攻め込んでくる。
どこからかナイフも取り出して、手からも攻撃し始めた。
両手両足の刃物たちが、上下方向、ななめから次々にあたしに切りかかる……
「ヒャハハハッ! どうした! 黒パーカーもたいした事ねえなあッ!」


