SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし



「…………」


……ハァ。

どうでもいいけど、一人でペラペラとよく喋る男だ。

香水だか何だか分からないけど、さっきからニオイもキツすぎて、おもわず顔をそむけたくなる。

でも、


「ねえ、」


あたしは、コイツに聞きたい事がある。


「なんで、こんな事、したの?」


「……あ?」


「爆弾。危なかった。あんたの覇鬼だって、みんな……」


すると次男坊は訳が分からないという風に、首を傾げてあたしに言った。


「お前、忠誠心ってモンがまるで分かってねえんだなぁ?」


「……忠誠心?」


「上の為なら命をも捧げる。喜んで勝利の為の捨て駒となり、利益の為の犠牲となる……それが忠誠心ってモンだろうが!」


「…………」


……はぁ。

聞いてもよく分からなかった。


「……じゃあ、」


あたしは車を見つめて言う。


「どうして薫に、ひどい事、したの?」


「……は? なんだ? もしかしてこのオンナ、お前の知り合いだったのか?」


次男坊は、今度は驚いたような声を上げた。


「はあ〜ん、類は友を呼ぶってか? 確かに霊感は多少あるにはあったらしいがな。だが、災難なのはこっちの方だ」


「……え?」


「お前と同じように透視させて、逆に意表を突くつもりが何の予知も出来やしねぇ。こっちのメンツ丸つぶれだっつーの。 ……ま、今となってはどうでもいいがな。この役立たずの嘘つき女。もう何の価値もありゃしねぇ」


次男坊は “ ケ! ” と息を吐き捨てた。