SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし


"……グワ! ブン! バキ!"


派手な動きをしているけど、それだけだ。

打撃や防御は明らかに奏太の方が上だし、奏太もすでに相手の動きを読んでいる。

すばしっこいから、それが少し面倒だけど、このままいけば確実に奏太が勝つだろう。


「……ふう、」


あたしはゆっくり息を吐く。

いつまでも、こうして隠れてるつもりはさらさらなかった。


問題はこれからだ……


外部の気配に気をまわす。

あたしには分かっているのだ。

別行動している次男坊の動きが。

薫を利用しようとする、その企みが。


「…………」


次男坊はすぐそこまで来ている。

山川組の、多くの仲間を引き連れて……


"ジジ"

嫌な予感……


——来る!!


あたしはバッとそこから飛び出した。


「美空ちゃんっ!」


"ドッゴオオオ————ンッ!!"


瞬間、黒いワゴンが突っ込んでくる。


「「「「……っ……!!」」」」


……運転席には、薫……


"ウ゛ウウウ————ンッ!!"


「うわっ!」
「あっぶ!」
「なんだ!」


"バリバリッ! ガン! ドンッ!"


いろんな物を引きずり、跳ね上げ、車は猛スピードで走り抜ける。

中央の太い柱へとそのまま突進していった。


……! ……あの車……


「……薫っ!」


あたしはとっさに手を伸ばす。


「……ハッ!」


車を包み込むように、バリアーを飛ばして車を保護した。