SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし



「「…………」」


そこだけ隔離されたような空間。

鋭い目つきで二人は睨み合っている。

ひと言、ふた言の会話のあと、


——ザシュッ!


雑魚田が先に仕掛けてきた。


"グワッ! ヒュン……グオッ!"


低い位置からの回し蹴りが奏太を何度もかすめてゆく。


——ガタタンッ!


テーブルと壁を巧みに蹴って雑魚田が後ろに回りこんだ。

ぶら下がるように奏太の首を締め上げる。


「……っ!」


"ブン! ダンッ! ……ガツ!"


振り落とし、奏太は反撃を開始する。


——ゴロゴロッ!


床を転がり雑魚田はそれを回避した。


——ビュオ!


またも雑魚田が飛びかかる。

今度は足で挟むように奏太の腰にぶら下がった。


「……! 」


奏太は大きくバランスを崩す。


"ブン! ……バキ!"


雑魚田の一撃。

だが、奏太はそれをモノともしない。


"……ギシ! ……ガツッ!"


近い距離を利用して、逆に締め上げて頭突きした。


——ザザ!

離れる二人……


「「…………」」


少しのあいだ睨み合う。


——ダッ!


雑魚田が仕掛け、またも格闘を繰り広げた。


「…………」


……ふうん。

あの雑魚田ってやつ、なかなかやるな。

総長って言うだけあってそれなりに強い。でも——、

あたしは予測してしまう。

あいつは奏太の敵じゃない……