SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし



『最近、よく連絡をくれる人なんです』


ふいに薫の言葉がよみがえる……



『見た目は不良っぽいけど、とても優しい人で……まだ知り合ったばかりなのに、彼といるととても気分が安らぐの』


この間会った時、薫はあたしにそう言った。


……ああ、 

あの時、心がモヤッとした感覚……

嫌な予感はあったのだ。

そしてたぶん予知してた、薫に何か危険が迫っている事を……



「……行かなきゃ……」


あたしは走り出す。


——ガッ!

奏太があたしの手を取った。


「待て! どこへ行く気だ!」


「薫……助けないと!」


「おまえ一人に何が出来る! 考えなしに動くな!」


「だってしるしが! 薫が! あたし!」


手を振り切って再び走る。


「勝手な行動は許さねえッ! お前も仲間なら総長であるオレの指示に従えッ!!」


怒鳴り声があたしを止めた。


「…………」


ピンと空気が張り詰める……


「……助ける」


「……?」


「その薫って女を助けに行く。お前が道案内しろ」


「……え、」


「お前の大事な奴なんだろ。だったらオレらも無関係じゃねえはずだ。 それと守るのは女だけじゃねえ、扇龍もだ。 覇鬼といずれ決着つけなきゃならねえなら……それが今だ」


「……奏太……」


熱い視線が集まっている。

固い決意と団結力がアジト中に満ちていた。