SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし



「……なあ…… 」


奏太の声に視線を戻す。


「……思ったんだが、今はおまえの方が先じゃねえのか?」


「……? なにが?」


「護身術だ。立て。オレが教えてやる」


奏太があたしの手を取った。


……え、


「……いいよ、あたしは……」


「何がいいんだ! 今はおまえが狙われてるんだぞ!」


「別に、狙ってくればいいじゃないか」


「……ああ⁉︎」


……もう。

なんで今さら護身術なんか……


「あたしより、キツネくんたちに教えてあげたら?」


「……あ?」


「教わりたいけど言えないって。奏太の顔、あんまりおぞましいから」


「……あ゛⁉︎」


……? ちょっと違ったか……


「……おい、フザけてんのはおまえと杵月、一体どっちだ……?」


尋常じゃない殺気が漂った。


「あ〜、おそろしい? 怖い? だったかな。ごめん、あたし言葉、よく間違える」


「……っ、」


奏太がフイッと横を向く。


「……ったく、おまえは知らねえだろうが、オレは結構モテんだぞ……」


どこかスネたような顔をした。


「……?」


「とにかくだ、今はおまえが先だろうが! 教えてやるからこっちへ来い!」


奏太がぐいぐい腕を引く。


「だから、あたしは大丈夫!」


「何が大丈夫だ!」


「とっくのじーさん習ったの。最初の、4年前に……」


「また訳の分からねえ事を!」


ズルズル奏太に引っ張られる。

……と、


「——っ!」


急に嫌な予感が胸をよぎった。