SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし



「……陽菜……」


「岩男くんの言う通りだよ。私はいつも泣いてばかりで、何の努力もしてこなかった……」


「…………」


「女だから何もできない、ケンカできない、守ってもらって当たり前……どこかでそういう決めつけがあったんだと思う」


「…………」


「岩男くんは、そんな私のずるい心を見透かしてたんだよ。女を一番意識してたのは私自身……。ここにいる以上、私だってみんなの仲間なのに……」


「……陽菜……」


「……やっと目が覚めたの。これからは、もっと強くなりたい……」


その顔に涙のあとは微塵もなかった。

哲平はじっと陽菜を見る。

やがて、


「……分かった……」


その思いを受け止めるように、哲平は静かに頷いた。


「ただし、厳しく教えるからな?」

「うん!」


決意を固めた二人の瞳は、しっかり前を向いていた。


……良かった……


やっと滞ってたものがなくなって、今は爽やかで清々しい空気があたしたちを包んでる。

そんな中、


「……はあ〜、 しかし……」


奏太だけはやたら深いため息をついた。


「それならそうと、岩男も早く言えば良かったのによ……」


頭をガシガシかきながら、そんな事を言っている。


「言ってくれりゃあ、こんな長いこと気を揉まずに……」

「だってそれは!」


すかさずあたしは口をはさんだ。


「目が合う陽菜泣く、哲平怒る。みんな出てきて、それがいつも!」


「「「……?」」」