SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし


「……陽菜……」


奏太も静かに入ってくる。


「……わ、たし……」


肩を小さく震わせながら、陽菜は再び口を開いた。


「……私、美空ちゃんがうらやましい。みんなの為に力になれてる美空ちゃんが……」


……?


「私にも霊感があれば良かったのに。そしたら、ちょっとはみんなの役にも立てていたかもしれない……」


「……陽菜……」


「岩男くんとだって、少しは仲良く出来ていたかも……」


「「…………」」


言葉が途切れる……


「あ————っ!」


そこでおもわずあたしは叫んだ。


「「……っ!!」」
「……おまっ……突然叫ぶのやめろっ!」


「……ごめん、 だって……」


「ああ⁉︎」


「そんなに、良くないから」


まずは思った事を口にした。


「「……?」」
「……なにがだ」


「霊感。いい時はいいけど、この前なんて、やたら霊が寄ってきて……」


「「「……⁉︎」」」


「悪霊が、毎日あたし、殺しに来るんだ」


「「「……っ⁉︎」」」


「血まみれの女、頭に斧が刺さったやつ、生首持った落ち武者、メスを持ったお医者さん、内臓飛び出た犬や猫……」


「「「……っ……!!」」」


「今もたまに。だから全然、良い事ばかり違う」


「「「……っ……」」」


三人の顔が引きつっている。


「それと、岩男の事なんだけど」


あたしは構わず言葉を続けた。


「嫌ってないよ。陽菜の事」


「「「……⁉︎」」」


「ただ、何て言えば……努力? を、してほしかったみたいで……」


「……?」
「……は?」
「……努力?」


「うん。ちょっと待ってて」


また思い出して走り出す。

大広間から大きな紙袋を持ってきた。


「はい。これ、岩男から」


サッと陽菜にそれを差し出す。