SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし


「……? なにが?」


「……だって私……美空ちゃんの事、避けてたでしょ……?」


「そうなの?」


「……⁉︎」


陽菜は少しキョトンとする。


「……ふふっ、」


儚げな顔で微笑んだ。



「……私ね、一年前に扇龍のみんなと知り合ったの……」


少しの間の後、陽菜はふいに切り出してくる。


「転校した学校で、哲平たちとおんなじクラスになって、それで……」


その日を思い出すように、陽菜は静かに話し始めた……



「最初はね、すごく怖かった。でも、話すうちにだんだん見た目とは違う優しさとか、誠実さとかに惹かれていって……」


「……うん」


「みんなといる時だけ心が安らいだ。あの時、私には帰る家も、頼る人も誰もいなかったから……」


「……うん?」


「……私、複雑な家庭環境で育ったの。ママは私を置いて出て行くし、義理の父はお酒を飲んでは暴れる人で……兄妹も、いつも私を邪魔者にした……」


「…………」


「だから、ここにいろって、みんなが言ってくれた時は本当にうれしかった……やっと、自分の帰る場所が出来たって、ここが私の居場所なんだって……すごく、うれしくて……」


その時の陽菜の思いが伝わってくる。

とても、とても、大きな……

ゆるぎない、優しくて、あたたかなもの。


「……でも、」


すぐに陽菜の顔色が変わった。


「……?」


「私、みんなを苦しめた……」


「……え?」


「私が扇龍の足かせになった。私を守ろうとしてみんな傷付いて、負担になって……私が扇龍のお荷物に……」


「……陽菜っ!」


さっと哲平が入ってくる。


「そんなこと言うなっ!」


ギュッと陽菜を抱きしめた。