SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし


……?


「奏太。あたし、変なの?」


「ああ、相当な」


「奏太とどっちが変なの?」


「……おまっ……オレのどこが変だっつーんだ!」


「奏太。のどかわいた」


「話をそらすんじゃねえ!」


「チョコレートある?」


「……だからっ!」


あたしと奏太のやり取りを、哲平はしばらく黙って見ていた。


「……はぁ、 ……ったく、」


呆れる奏太の声のあと、


「……ふっ、」


小さな吐息が耳に届く。


「美空は人の心をつかむのがうまいな」


苦笑しながらそう言った。


「……?」


「奏太や、あの岩男まで……」


「……うん?」


「岩男は、オレが何をどう言っても駄目だった。陽菜の事、全く受け入れてくれなくてよ。日増しに嫌悪の具合もひどくなった……」


……? ……イワオ?


「……陽菜、また落ち込んでいるのか」


奏太がつい立ての方に視線を送る。


「ああ、今回はあの岩男の変わり様を見て特にな」


哲平も切ない顔で視線を向けた……


「…………」


……?

……陽菜と、 岩男……?


「……あっ!」


思い出して立ち上がる。


「……!」
「なんだ!」


「ちがう。岩男は……」


「……⁉︎」
「岩男がどうした!」


「あたし、陽菜と話してくる!」


すぐにあたしは走っていった。


——ダダダッ

「……ひなっ!」

「……っ、美空ちゃんっ、」


目が合った途端、陽菜はすぐに顔をそらした。


……あれ。


「……陽菜。泣いてたの?」


その顔には、はっきり涙のあとが残ってる。


「……ごめんね。 美空ちゃん……」


何故かあたしに謝ってきた。