SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし


もっとみんなの役に立ちたいのに……


「……少しだけ使えるのは……」


透視、予知、ミクロ触覚……


「……あとは……」


ユラ〜と視線を泳がせる……

——バチ!

黒い瞳と目が合った。


「……あ、」


今、気が付いた。

哲平がじーっとあたしを見つめてる。


「おまえ独り言すごいな」


真面目な顔で哲平は一言そう言った。


……あれ。


ぐるりと辺りを見回す。


「みんなは?」


さっきとは違いアジトがだいぶ静かだ。


「ほとんど見回りに出て行った。さっきおまえが指摘した場所に……」


「……あ〜、そっか」


今日も覇鬼の動きが激しい。

あたしは事細かに覇鬼の出没ポイントを予測していた。


……?


「……陽菜は?」

「あそこにいる」


哲平の視線の先を見る。

そこにはつい立てで囲っただけの小さな空間。


「一人になりたいと言われてな……」


哲平は切ない顔をした。


「……?」


「……ああ、それと奏太は今、来客中だ。オレは見張っててくれと言われて……」


奏太の寝床に視線が流れる。


「……来客?」


つい立ての奥の人影を見る。


……なんだろう。


そこだけ異様な空気が流れてる。


"……ジジ……"


……あ。

開きっぱなしだった“ESPミクロ聴力” が、途切れ途切れに会話を拾う。

今度は少しだけクリアーだ。


 ……ザザ……


〔——組が欲しいのはお前だけだ、実は……も……緊迫した状況で……〕

〔……そうですか……オレは……〕

〔——手は貸せない……どう切り抜けるか……お前の手腕を……〕


 ……ザザザ……ザ……



「……大熊組のヤクザだ。組は何より奏太を欲しがっている」


哲平の声にハッとする。


「……大熊組……」