SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし



……? 強い理由?


「よく分からない。でも……」


考えながらあたしは喋る。


「自分の身は、自分で守らなきゃ……」


「…………」


「だって、誰が助けてくれるって言うんだ」


「…………」


「強くなきゃ、何も出来ない。誰も守れない」


しるしの役目の事を考える。

そして、扇龍の事を考える……


「……迷惑かけたんだ、扇龍に。だから、あたしが出来る事をしたい……」


「…………」


岩男は某然とそんなあたしを見下ろした。

そして……


「……! お前まさか……!」


何かに気付いた顔をする。


「……? イワオ?」


「……フン! わざわざ扇龍に留まる理由はそれか! バカな覇鬼共はちっとも気付いてねえみてえだけどな!」


「……?」


含み笑いをする岩男に、あたしは首を傾ける。


「おもしれえ! 気に入った!」


そう言う岩男の表情は、前とは別人のようだった。

それから——、


「パインちゃん、良かったね」


「おう、あとちょっと遅かったらまじで手遅れだった……礼言うぜ」


あたしと岩男はいろいろ話した。


「……オレだって別にオンナを毛嫌いしてる訳じゃねえ。ただ……」


「だったらそう言えばいいのに」


「言う前に……泣きやがるからよ……」


岩男は、何て言ったらいいのだろう。

気を許した相手には、なんでも話すやつだった。

ほとんど岩男が喋っていたけど、

ほんとに別人かと思うぐらい、岩男はいろんな顔をあたしに見せた……