「…………」
岩男は微動だにしない。
そのまま大きく両手を振り上げると、
「……フンッ!」
バンッボンッボン! ……バゴッ!
その太い両腕で次々と覇鬼をなぎ倒した。
「……ッ!」
「ちっくしょ!」
——グワ!
振り下ろされる鉄パイプ。
「フンッ!」
バコ! ……ボボボボンッ!
どの攻撃も通用しない。
岩男は覇鬼を全員ぶっ飛ばした。
「「「……あぅ……」」」
「「「……ぐぅ……」」」
道に転がる覇鬼の群れ。
……すごい。
あたしはぼーっと立ち尽くす。
すると、
——ドスドス……
岩男がこっちへやって来て、軽々とあたしとヒョロヒョロ男を引き離した。
「おいっ! 薄井っ!」
「……おかん待って……」
「寝ぼけてんじゃねーぞコラ! ……たく、」
——ギロ!
岩男の視線があたしに移る。
何か言いたげにギリッと奥歯を噛みしめた。
……?
あたしはぐるっと視線を動かす。
再び迫る嫌な気配……
——シュンッ!
脇道から矢のようなものが飛んできた。
「危ない!」
あたしはとっさに岩男に言う。
矢は岩男の肩をぎりぎりかすめて、ブロック塀に当たって落ちた。
「……ッ!」
"ウ゛オオ——ンッ!!"
すかさず今度はバイクが猛スピードで突っ込んでくる。
“グイッ! ズザアア……!”
後ろに乗ってた男につかまれ、あたしの体は引きずられた。
「「「捕獲成功〜!!」」」
さっきよりも大人数がわらわらといっぱい集まってくる。
「……クソッ!」
「おっと動くな!」
あたしをつかんでいた男がサッとナイフを取り出して、それをあたしの首に押しあてた……


