SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし


そういえばテルが言っていた。


『……奏太、雰囲気変わったな。あいつが人と一緒にメシ食うとは……』


少し驚いているようだった。

よく、分からないけど……

あたしは装ってる奏太より、ホンモノの方が好きだった。

……と、


"……ドスドス…… "


突如感じる大きな地響き。


……あ。


"……ドスドスドスドス……"


巨体を揺らし、岩男がこっちに歩いて来る。


——ピタ!


あたしの前で立ち止まった。


「……岩男」


警戒し、すぐに奏太が立ち上がる。

静まり返るアジト。

岩男は何も言わず、あたしをじっと見下ろしている……


「……どうしたの?」


あたしが言うと、


——ズイ!

ペットボトルを差し出してくる。


……?


「……えっと……」


——ズイ!

受け取れとばかりに押し付けてくる……


「……ありがとう」


あたしがそれを受け取ると、岩男はクルッとひるがえす……


「……おい、岩男」


「……明日」


「……?」


「明日合流する」


それだけ言うと、またドスドス歩いていった。



「……やっぱり不器用……」


受け取った“元気いっぱいパインジュース” を握りしめ、あたしは背中を見送った。