SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし


「……15分後……」


「……あ?」


「火事になる。それ、バケツから火がメラメラと……」


「……っ!」


奏太は慌てて立ち上がる。

テーブルの上のウーロン茶をバケツにドボドボ注ぎこんだ。


「……ハァ。 ……しかし、ホント、何でもお見通しなんだな」


……?

再び腰を下ろした奏太の、その表情は少し硬い。


「……なあ、いくら一緒にいるとはいえ、オレのプライバシーは……」

「わかってる」


前を見つめてあたしは言った。


「前に怒られた事がある。プライ、ベート? 勝手に視ちゃダメだって。だから視ないようにしてるんだ。奏太、視られるのイヤなんでしょ?」


「……⁉︎」


「そいつもね、イヤみたい。いつも優しいのに怒るんだ。知られたくないの視るの、失礼なんだって。 あたしのは全部みるのに……心の、声まで……」


「……っ、」


一樹の顔が頭をよぎる。


「だから、みない」


「…………」


奏太は少し黙り込む。


「……ったく、たまにドキッとするような事を言うんだな」


沈黙の後、なんとも言えない顔をした。

そのままタバコを手に取って、

すぐにそれを胸にしまう……


「もう食べないから大丈夫だよ」


「……フッ、鈍感なんだか鋭いんだか」


今度は少し苦笑いした。


……?

あたしは奏太の変化に気付く。

言葉も態度も、最初の時よりズレてない。

この数日で、ホンモノ奏太の出現率がかなり高くなっていた。