「同じ事、よく聞かれる。でもその方がいい。だっていっぱい動けるから」
「……何を言っている」
「分からないから分かるまで突き進める。いろんなものと闘える」
「…………」
「だから全然こわくない。それに、分からないけど分かるんだ、扇龍は絶対バキに負けないって」
「……っとに、訳の分からねえ……」
奏太はハァ〜と息を吐く。
「でも、最後のはその通りだ。扇龍はぜってえ覇鬼に負けたりしねえよ」
少しだけフッと微笑んだ。
「……とにかく、これからは行動を共にする。今まで以上にな」
「……?」
「いいか、くれぐれも一人になるなよ。どこにいてもだ」
「……どこに、いても?」
「そうだ。何かあったらオレを呼べ。絶対オレから離れるな! 分かったな!」
力強い奏太の瞳……
……?
行動を共に? 一人になるな?
絶対オレから離れるな……?
「分かった。じゃあ、一ついい?」
さっそくあたしは言ってみる。
「……なんだ」
「あのさぁ、お風呂に入りたい。一緒に入ろう?」
「……っ、……ばっ、入る訳ねえだろっ!」
「だって、さっき離れるなって……」
「アホかっ! それは別に決まってんだろっ!」
「ふ〜ん、そうなんだ」
「……っ、」
なんか奏太が睨んでる。
あたしは少し視線を落とした。
"……ジジ……"
……あれ。
さっき、おもいっきりアンテナを開いたせいで感覚がより敏感になっている。
“消火用” と書かれた赤いバケツ。
中には大量のタバコの吸い殻。
それが妙に気になってしまう……
……う〜ん?
身を乗り出してバケツを見つめる。
「……なんだ、どうした」
奏太があたしの顔をのぞき込む。


