SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし


「……ちょっ……美空ちゃんっ、」
「スゴすぎて何がなんだか……」


覇鬼の事は、まだ、どうしたらいいか分からない。

でも——、


「この倉庫にいっぱい集まってる。 ……あ、パーマ男が通行人ぶん殴った。一人この歯医者さんで治療中……」


あたしには、あたしに出来る事がある。


「「「「……っ⁉︎」」」」


「それから——、」


ここぞとばかりに、あたしは力を使いまくった。


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「……昼間はいろいろ言ったが、実際、おまえの霊感にはずいぶんと助けられているな」


奏太があたしの隣に腰をおろす。


「……ほら、」


差し出されるチョコレート。


「ありがとう」


あたしはそれを受け取った。


——ガヤガヤ……


さっきまでの緊張が嘘のように、アジトはいつもの雰囲気を取り戻している。

でも、けして穏やかな訳じゃない。

みんな、どこかで危機感を抱きながら、それぞれ体を動かしたり作戦会議をしたりしている。


見張りにつく者、待機する者……


あたしが言った情報をもとに、みんなにはそれぞれ役割が与えられた。

テルは仲間を引き連れて、縄張りに侵入する覇鬼を撃退しにいった。

アオとハクは幹部の間で、なにやらパソコンをいじってる。

哲平は引き続き、陽菜の警護にあたってる。

さっきから二人、見あたらないけど……



「……平気なのか?」


ふいに奏太が聞いてくる。


「……なにが?」


「奴等の標的になってるっていうのに、不安な顔一つしねえのな」


「……うん?」


「怖いとは思わねえのか。いくらオレが付いているとはいえ、相手は情け容赦ない連中なんだぞ」


……?

あたしは少し首を傾けた。


「……怖くない、というより……」


「……?」


「あたし、怖いが分からない。それ、まだ取り戻してないし……」


「……は?」