SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし



ふと、牛丼屋さんでの奏太の言葉を思い出す。


『まず、山川が潰れねえと無理だろうな。親がいる限り、連中はいくらでも湧いて出る』


覇鬼をやっつける方法……

それは親である、山川組を潰す事。

……でも、


『おい! そいつに言っとけ! 迷惑かけねえっつーんなら、余計な事はすんなってな!』


"余計な事"

奏太はあたしにそう言った。

もう扇龍に迷惑はかけたくない。

でも何もしなければ、扇龍はずっと大変なままだ。


……う〜ん。

一体、あたしはどうしたら……



「……んでも護りに入ってばっかもなあ〜」


……?


「尻込みしてっと思われたら……」
「余計につけ上がらせるだけだよねえ」

「かと言って下手に動くのも……」
「いつどこで襲撃してくっか分かんねーしな」


行き詰まったようなみんなの顔。


……あ。

あたしは一つ、思いついた。


「……あのさぁ。それならあたし、分かるかも」


みんなを見つめて言ってみる。


「「「……?」」」


「いつ、どこで、じゃないけど、距離と方向なら分かる。霊感で……」


「……あ、」


思い出したかのような奏太の顔。


「……それって……」

「覇鬼が今どこにいるのか、美空ちゃんには分かるって事?」


「うん」


「本当に⁉︎」


「地図があれば、もっと詳しく。がんばれば他にもいろいろ……」


「「「おお〜っ!!」」」


急にアジトが沸き立つ。


「じゃあ美空ちゃんココは⁉︎」
「この辺は⁉︎ どんなカンジ⁉︎」
「オレんちは⁉︎ どうなってる⁉︎」


一斉に電話のやつ……スマホの画面を見せられた。


「……えっと……」


画面に映る小さな地図。

あたしはセンサーを働かせる……


「ここはだめだ。6人バキが見張ってる。このお店の前の駐車場にも4人、この曲がり角に停まってる黒い車の中にも。 ……あ、バイクのやつが踏み切り渡った」