SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし


「さんざん変な邪魔が入ったが」
「ようやくここまで追い詰めた」
「しかも指名手配の二人組み……」

「このチャンス……」

——ジャリ、

「ぜってえ逃がさねええッッ!!」


覇鬼の攻撃が始まった。


——ヴウンッ!


降り降ろされる鉄パイプ


——パシ!


奏太は何なく受け止める。


「「……っ、」」
「「……りゃあッ!」」

ブン……ガンッ! バキッ!


「「……らあッ!!」」

ガンッ、ガツ! ブンッ……ゴッ!


「……ぅぅ……」
「……ぐあ……」


……うん。

奏太をここに連れて来てよかった。

大人数を相手にする時は狭い所でやるのが基本だ。

これだけ道幅が狭ければ、嫌でも一対一、二人以上は襲ってこれない。

問題は、奏太がどれだけ覇鬼を倒せるかって事なんだけど……


「……ッ! ……ヤロッ!」

……グンッ! バキッ!!


「……くっそっ!」

ゴキッ、ゲシッ! ……バタ!


「…………」


……えっと……


おもわず奏太に見入ってしまう。

前にも一度、見た事あるけど、やっぱり奏太は強いと思う。

動きにまったくムダがないし、相手の動きも読めている。

一人をたったの1、2秒でどんどん数を減らしてゆく……


「……ザケんなッ!」

ガキン! ドゴッ! ガンッ!


「……っ! くたばれッ!」

ブウン! ……パシ! ゴスッ!


……やがて——、


——カラン、コン……


せわしなかったのがピタッと治まる……


「「「……ぅぅ……」」」
「「「……がぁ……」」」


目の前には倒れた覇鬼の黒い山……

手伝おうと思ってたのにとうとうあたしの出番はなく、70人以上を奏太はたった一人で片付けた。