SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし



“今月中に大そうじする”


差出人はゴミ屋さん。


……? 大そうじ?


ゴミ屋さんが大そうじ……


"ブー、"

立て続けにもう一件。


“玩具の愚連隊はお前に預ける”
“程々に遊んでやるといい”


……? なんだこれ?

さっぱり意味が分からない。


「ねえ奏太。これ、なんて書いてあるの?」


「……?」


「ゴミ屋さんからなんだけど、全然漢字が読めないんだ」


「……おまえどういう交友関係だよ」


言いながら奏太はメールを確認する。


「……おまえ……」


見た途端、何故か微妙な顔をした。


「いい年して、戦隊ヒーローもの好きかよ! 廃墟マニアといい、どんだけマニアックな奴なんだ!」


「……?」


戦隊ヒーロー?

ますます意味が分からなくなった。


「……まあいい。ついでにライン教えとけよ。なんかあったら困んだろ」


「ライン? あ〜、メールの事? はい、入れといて」


電話をポンと奏太に差し出す。


「……おまえ、ホント警戒心ゼロだな」


呆れ顔で奏太はそれを受け取った。



「……なあ、そんだけスゲえ霊感あって、おまえもいろいろ大変だったんじゃねーのか?」


スラスラ指を動かしながら、奏太が何か聞いてくる。


「……うん?」


「今まで、いじめる奴とか、悪く言う奴とかいたんじゃねーのか……?」


「……よく分からない」


「おまえ、やっぱ鈍感だな。でもその方がよっぽど……」


まだ奏太の話は続いてる……


「……?」


あたしは、取り巻く空気が、だんだん重くなるのを感じていた。