SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし



「伝言だ。扇龍に迷惑かけない。黒パーカーが全部あいつらやっつけるって」


「…………」


……? ……あ、れ?

なんかすごい怪訝な表情。

奏太は少し黙りこんだ。


——ガタッ


「……はあ〜、」


しばらくして、奏太がぐにゃっと姿勢を崩す。


「……おまえ、それどんな霊感なんだよ? 相手の、黒パーカーの胸の内まで分かるとか、岩男の言ってた霊能者より実はおまえの方がスゲんじゃねーのか?」


ホンモノ奏太が現れた。


「……まあ、確かに世の中、説明つかねえ事も多々あるけどな〜……」


「……?」


「でもさっきの……黒パーカーの奴、マジにンなこと言ってんのか?」


頬杖をつき、投げやりなカンジで聞いてくる。


「……うん。 まじ、だ……」


「だったらそいつ、大バカもんだな」


奏太は顔を曇らせた。


……?


「……バカ?」


「ああ、史上最大の大バカやろうだ」


……大バカ、やろう……?


「どんだけ強えのか知らねえけど? たった一人で何が出来る……相手はみな裏の世界のプロなんだぞ。いざとなればどんな汚ねえ手だって使うし武器だって……

下手に山川組に乗り込んでみろ! そんなん、わざわざ殺されに行くようなもんだろーがッ!」


最後を荒く、奏太は喋った。


「……えっと……」


「おい! そいつに言っとけ! 迷惑かけねえっつーんなら、余計な事はすんなってな!」


「…………」


……余計な事?

……余計な事、なの……?

あたしは何も言えなくなった。

すると、


"ブー!"


沈黙の中、電話のやつが震動する。


「……あ、」


あたしは届いたばかりのメールを見た。