"ジジ"


そこでESPが反応した。

ふいに記憶の中の、あるトンネルの風景を思い出させる……


……ああ、


そういえばあたし、前にしるしに呼ばれて、トンネルの場所に瞬間移動した事がある。

そこにいたのは派手な少年たちと二人の男女。

派手なやつらに二人はひどい事をされていた。


それであたし、助けて……

そのあと、二人は寄り添って……


……?

寄り添って……?

寄り添う、二人……?


「……あっ!」


ピタリ、知った顔が重なった。


「「「……?」」」

「……美空さん?」
「どうかしたんスか?」


「……うん。あのさあ、」


念の為、一応みんなに聞いてみる。


「あの事件って、雨で、夜で、川沿いのトンネルで、15人ぐらいの派手な頭のやつだった?」


「「「……へ?」」」


「殴ってたの、大きな金髪で、哲平が黒のTシャツで陽菜が白のブラウス……」


「スッゲ!」
「そんな事まで分かんの⁉︎」
「まさにその通りっ!!」
「美空ちゃんの霊感ハンパないね!」


……やっぱり。


"黒パーカーの男"


紛れもなく、それはあたしの事だった。


「……でも、なんで?」


あたしはさっぱり分からない。


「やっつけたの黒パーカー。なんでバキ、扇龍にひどくなったの?」


「扇龍だけじゃないっスよ。覇鬼の奴、族潰しに乗り出して、他の族はほとんど奴らに潰された」


「必然的に残ったんが扇龍で……」


「親の命令だし、覇鬼のヤロー、ここぞとばかりに攻め込んできやがった」


……? ……えっと、


「……だから、なんで? やったのは黒パーカー……」


……あたし、なのに。